ロックバンドBUCK-TICKのボーカル、櫻井敦司さんが脳幹出血により亡くなりました。
櫻井敦司さんは2023年10月19日、横浜にてファンクラブ限定ライブの最中にスタッフに体調不良を訴え病院に搬送、そのまま帰らぬ人となりました。
本当に悲しく苦しいニュースですが、そんな櫻井敦司さんが最後に歌った曲『絶界』に注目が集まっています。
今回は、BUCK-TICK櫻井敦司さんが生前最後に歌ったナンバー『絶界』についてリサーチしていきます。
櫻井敦司の最後のライブのセットリスト
櫻井敦司さんは2023年10月19日、横浜のKTZeppYokohamaにてBUCK-TICKのファンクラブ限定ライブの最中に体調不良を訴え病院に搬送、そのまま帰らぬ人となりました。
“ファンクラブ限定LIVE『FISHTANKer’s ONLY 2023』”
日程 : 2023年10月19日 (木)
時間 : 18時30分〜 (開始約30分で中止)
会場 : KT Zepp Yokohama
当時のライブのセットリストは以下のようになります。
1. SCARECROW
2. BOY septem peccata mortalia
3. 絶界
※以下体調不良により中止
櫻井敦司さんは、1曲目の「SCARECROW」を歌い終えた際に、ステージ上の階段でふらつき転倒。
ゆっくりと体勢を立て直した上で2曲目「BOY」 、3曲目「絶界」まで何とか歌い切ります。
その後スタッフを呼んで2〜3分話し込んだ後、肩を借りながらゆっくりとステージを去ったといいます。
その後ライブの中止がアナウンスされましたが、会場からの不満やブーイングなどは一切なく、ファン全員が静かに中止を受け入れたとのことでした。
櫻井さんが退場した直後こそ心配の声があがっていましたが、中止に対する不満があがらなかった辺りファンが本当に心配の気持ちで溢れてたことがひしひしと伝わってきますね。
櫻井敦司の最後の曲「絶界」
櫻井敦司さんのステージ上での最後の曲となってしまった『絶界』。
作詞:櫻井敦司
作曲:今井寿
発売日:2007/09/19
2007年にリリースされたこの楽曲において、櫻井敦司さんは作詞を担当しています。
激しくも何処となく哀愁漂わせるギターの音色と櫻井敦司さんの心震わす歌声が混ざり合う、非常に心を打つロックナンバーになっています。
そして何より曲名と今回の状況がリンクしすぎているように見えますよね。
そんな楽曲『絶界』はどのような想いが込められていたのでしょうか。
「絶界」の歌詞
それでは櫻井さんのラストソングとなった『絶界』の歌詞全文を確認していきましょう。
無常だ 無常だ 無常だ 絶界
蠢(うごめ)く 渦巻く荒れ狂う 絶界
沈みゆく太陽、空に煌めく星
波の音と 俺とおまえ Baby, I love you.
いいか忘れるなよ いいさ 忘れちまえ
この世は全部 おまえの夢 Baby. I love you.
無常だ 無常だ 無常だ 絶界
退くか 戦闘か 生き抜け絶界
流れる血は赤く ひどく 紅く 紅く
あなたが好いあなたじゃ解らん l love you.
流るる涙 何故、もろく果敢無い夢
あなたが好いあなたが好いBaby, l love you.
無常だ 無常だ 無常だ 絶界
蠢(うごめ)く 渦巻く荒れ狂う 絶界
沈みゆく太陽 空に煌めく星
波の音と俺とおまえ Baby.I love you.
いいか忘れるなよ いいさ 忘れちまえ
この世は全部おまえの夢 Baby. I love you.
無常だ 無常だ 無常だ 絶界
無常だ 無常だ
無常だ
絶界
「絶界」という言葉の意味
曲名にもなっている「絶界」という言葉。
あまり聞き慣れないワードですが、そもそもどういう意味なのでしょうか?
絶界とは、辞書等には載っていない言葉であることからBUCK-TICKが創りあげた造語になります。
漢字の組みあわせから単純に解釈するのであれば、「世界を絶つ」という意味合いになるといえます。
「世界を絶つ」曲が結果的に最後のナンバーになってしまったと考えるとどうしても意味深に捉えてしまいますね…
しかしこの曲はネガティブな絶望溢れるの歌という訳ではなく、裏のメッセージとしてラブソング且つファンに向けた感謝の曲だったのではないかと感じます。
その理由を次の章にて解説していきます。
櫻井敦司「絶界」の歌詞の意味
それでは、『絶界』の歌詞およびフレーズの意味について触れていきます。
蠢(うごめ)く 渦巻く荒れ狂う 絶界
無常だ 無常だ 無常だ 絶界
退くか 戦闘か 生き抜け 絶界
確認する限り、『絶界』というのは「厳しすぎる現実・人生」という意味合いも込められていそうです。
流れる血は赤く ひどく 紅く 紅く
あなたが好いあなたじゃ解らん l love you.
流るる涙 何故、もろく果敢無い夢
あなたが好いあなたが好いBaby, l love you.
そして歌詞の中にたびたび「あなた」という言葉が登場しており、この曲の主人公は「あなた」に想いを寄せていることが分かります。
血・涙・果敢無い夢という激しいワードで「人生の厳しさ」や「心の虚しさ」を謳いつつ、「あなた」という存在が唯一の救いになっているという内容といえるのではないでしょうか。
沈みゆく太陽 空に煌めく星
波の音と俺とおまえ Baby.I love you.
いいか忘れるなよ いいさ 忘れちまえ
この世は全部おまえの夢 Baby. I love you.
最後には夜の海へと場面は展開し、主人公と想いを寄せた相手とが2人でいる様子が描かれています。
そしてさりげなく「あなた」から「おまえ」となっていることから、関係性が進展したことも伺えますね。
「忘れるなよ 忘れちまえ」と矛盾の言葉を並べつつ、「この世は全部おまえの夢」と何処か遺言とも取れるような言葉を最後に、「無常だ・絶界」と繰り返し曲は終わります。
こう考えると「絶界」という言葉は、はじめに述べたとおり「この世から旅立つ」という意味合いを含んでいることは間違いないといえるでしょう。
何となく分かってはいましたが…歌詞をしっかり振り返った上で再認識すると胸に突き刺さる想いです。
櫻井敦司「絶界」に隠されたファンへの思い
この世に絶望しつつも「あなた」という希望の存在がいたことを描いていた『絶界』という楽曲。
そのことを踏まえて『絶界』のストーリー全体をまとめると、
殺伐としたこの世の中、絶望する最中に「あなた」に出会えた。僕を変えてくれた君は、僕の希望であり夢そのものだ。僕はこの世を去るけれど、ふとした時にほんの片隅に僕の存在を思い出してくれ。
と変換できるのではないでしょうか。
また「あなた」は一見恋人のことを指しているように思えますが、「あなた」を『応援してくれるファン』と置き換えても全く違和感がないように思えます。
『これまで辛いこと絶望したことも沢山あったけれど、あなた(ファン)が居てくれたからこそ、ここまでやってこれた。ありがとう。』
というメッセージを『絶界』に込めていたのではないでしょうか。
本来であれば1曲目に転倒した時点で櫻井さんは満身創痍であり、いつ意識を失ってもおかしくない状態だったはず。
そこを意地でも踏み留まり、3曲目の『絶界』を歌い切ってから亡くなられたと考えると、ファンに対しての最後の感謝の気持ちを『絶界』を通して伝えたかったのではないかと考えざるを得ません。
意識がもうろうとするなか「この曲を歌い切るまでは倒れられない」と感じていた可能性もありますね…最後の最後まで最高のロック魂を熱く感じる生き様です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のリサーチ結果をまとめると以下のようになります。
・2023年10月19日にBUCK-TICKのボーカル櫻井敦司が脳幹出血で亡くなる
・生前のライブで最後に満身創痍になりながら歌った楽曲が『絶界』
・一見命を絶つ意味深で悲しい曲に見えるがラブソングの側面もある
・歌詞の「あなた」を「ファン」などの言葉に置き換えても違和感がない
・楽曲を通して本能的にファンに感謝を伝えたかった想いがあったのではないか
体調不良の状態でもステージに立ち続け、『絶界』を歌いきり亡くなった櫻井敦司さん。
当時居合わせたファンは苦しかったでしょうが、最後の最後までファンと音楽を愛し、自身のロック人生を謳歌させた伝説のパフォーマンスとなったといえるのではないでしょうか。
改めて、櫻井敦司さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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